ブラジリアン柔術を練習していると、人それぞれの個性が戦い方に強く反映されます。とはいえどんな戦い方をしようと結局大切になってくるのはやはり基本の部分です。
しかし初心者にとってはこの基本とは一体なんのことなのかがさっぱり分からなかったりしますね。そこで柔術の基本とは何かということについて考えていきましょう。
読者の方からこんな質問をいただきました。ありがとうございます。
はじめまして。いつも楽しく拝見しております。(私は)白帯1年くらいです。(強くなるために)自分で本を見たりDVDで覚えた技をスパーリングで試したり、先輩に聞いたりしていました。
ところがある日、習ってない技をやるのもいいが、もう少し基本を練習しなさいと言われました。また、スパーリングを見てか、脚をまったくつかっていない。ガードの攻防が見られない、など指摘事項はたくさんありました。
ともかく基本を練習しなくてはいけないということは理解できたのですが、柔術における基本とは何だろうと悩みました。脚を使うことやガードの攻防も基本と繋がることとは思いますが、いまいちピンときません。
いま、習ってないベリンボロを本とDVDで繰り返し練習していましたが、基本が出来てないと難しいよとも言われました。もちろん習ってない技をやるなという意味ではなく、基本をおざなりにするなということです。改めてうかがいますが、柔術における基本とは?なんでしょう。そして基本の何を意識し練習すれば良いのでしょうか? 宜しくお願いします
柔術の基本はガード、ガード、ガード
すごいいい質問ですね。例えば野球だったら、「野球の基本は素振りだ!」、サッカーだったら、「サッカーの基本は走り込みだ!」となるでしょうが、柔術の場合、基本はやはりガードワークといえるかもしれませんね。
柔道の練習でも最初のうちは怪我をしないように徹底的に受身の取り方を覚えさせられるのと同じで、柔術は最初のうちは基本的にスパーリングで攻撃されるのを想定したうえでガードワークやエスケープの仕方を覚えるのが優先になります。
そのためにはエビだったり、ブリッジだったり、脚を交差する動きだったり、ヒップムーブメントができなくてはなりません。
https://www.jiujitsu-b.com/920.html
そもそも相手が攻撃してくるときに全てパスガードを許してしまっていたら、どんなに格好いいスイープを覚えたところで使う機会はないでしょう。
もしかしたら先輩はインバーデットガードの動きもできないのにどうやってベリンボロができるんだよって言いたかったのかもしれませんよ。でんぐり返しもできないのにバック転なんてできないだろ!というのと同じことです。
柔術の基本がガードならガードの基本はなんなの?
人によってはガードをすっ飛ばして上からの攻撃ばかり練習する人もいますが、あえてここではガードからみっちり練習することを前提で話を進めます。
ガードをするときに何を意識して練習すればいいのか。僕が意識していることはおおよそ次のとおりです。
- 足を抜かれない
- 相手を自分に密着させない
- 脇を刺されない
- 袖を掴まれない
- 腰を殺されない
- 首を殺されない
だいたいこんなことを考えながらディフェンスするといいんじゃないでしょうか。特に白帯のときはかなり危険な目に遭っているのにその危険に気づていないことがよくあるはずです。そして気づいたときにはときすでに遅しで、あっという間に極められたりしませんか。
そうならないためにも以上のことを死に物狂いで阻止しましょう。するといつのまにかパスガードされにくくなるはずです。
ガードは基本だけどガード以外の基本ももちろん大事
「柔術の基本はガードだ」などと勢いで言ってしまいましたが、もちろんガードだけやっていればいいということではありません。例えばこれらの動きにもそれぞれ基本があります。
- 基本動作
- エスケープの基本
- スイープの基本
- パスの基本
- マウントの基本
- バックマウントの基本
- 抑え込みの基本
- 関節技の基本
- 絞め技の基本
https://www.jiujitsu-b.com/334.html
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基本とはすなわち「判断・行動・方法などのよりどころとなる大もと」であることを考えると、習得するにはそれぞれの練習において徹底的な反復練習とディテールの理解が大切となってきます。それを欠いてしまうとなにをやっても不発に終わるでしょう。
また、ひとつひとつの技術をしっかり練習し、理解していくと、それぞれの技術が連動していくことを実感できると思います。
初心者のときは好奇心旺盛のため動画、DVD、教材などを見てとにかく多くの技を覚えようとする人が多いですね。質問者の方もおそらくそうでしょう。しかしひとつひとつの技術を反復練習もせずに理解の浅いままで次の技、また次の技と新しいものに移行してしまうと、どれも中途半端な精度で終わります。
そういう意味では、「基本をおざなりにするな」というのは「反復練習(ドリル)を怠るな」と言い換えることができるかもしれません。とにかく練習あるのみです。