ブラジリアン柔術はテクニカルな格闘技というイメージがあるからか練習してもあまりフィジカル的には変わらないのではないかといったイメージを持つ人もいるようです。
そこでそんな偏見を吹き飛ばすためにいかにして柔術の練習で筋肉がつくのかについて話したいと思います。
柔術は全身運動だから
柔術のスパーリングをすれば分かると思いますが、柔術の動きはいわば全身を使ったエクササイズです。
両手、両脚を余すことなく使い、それぞれで押したり、引いたりという動きを繰り返します。もちろんその際には腹筋や背筋にも強い負荷がかかります。
基本的に力をかけて押せば身体の前面を中心に鍛えることができ、逆に引けば身体の背面を中心に鍛えられますが、相手に抑え込まれないように相手の顔を押したり、相手を自分に引き寄せるために襟や袖を引いたりしていれば自然と身体の前面も背面も交互に鍛えられていくわけです。
多くの柔術家がとてもバランスのいい体付きをしているのはそうした全身運動と関係がありそうですね。
ウェイトトレーニングのように大胸筋を鍛えたいからベンチプレスをするといったように特定の箇所だけを集中して鍛えるのではなく、柔術は練習をしているだけで全身の筋トレができるからです。
柔術初心者はフルパワーでスパーリングしがちだから
柔術を始めたばかりの頃は極められないために初心者は何かと余計な力を使うことになるでしょう。それこそ首を絞められたり、腕を伸ばされたりするのを必死で守ろうとするので死に物狂いで筋力に頼るはずです。
怪我を避けるためにも、早く上達するためにもできるだけリラックスして、力を抜いて練習ができるのが理想なんですが、なかなか最初からそうはいきません。
しかし柔術の技術的にそれがいいか悪いはさておき、力に頼ってしまうからこそ初心者にとってはスパーリングはとてもいいエクササイズになるという側面もありそうです。
始めたばかりの数週間、数ヶ月は強い筋肉痛に苦しむでしょうが、それでも続けていれば大抵の人は白帯から青帯になる頃には体格に大きな変化があるはずです。
初心者じゃなくても強い相手や重い相手と練習するのはきついから
たとえ初心者の域を超えたとしても、自分を追い込む練習、スパーリングを続けていれば、柔術はいつでもいい筋力トレーニングになるはずです。
上級者になると、省エネモードであまり動かなくなる人もいるけれど、普段から自分より重い相手や強い相手をあえて選ぶようにしていれば、黒帯になってもいい汗がかけるし、練習の翌日には筋肉痛になったりもします。
だから体型維持という意味では柔術をしていれば特にそれ以外のことをやる必要もないのです。
極めるには力が必要だから
柔術の醍醐味である「極め」を成功させるにはテクニックだけでなく、やはりある程度の力が必要になります。
いくらテコの原理を使おうと、腕力の強い人の腕を伸ばすのは大変です。首の太い人の首を絞めるのもなかなか難しいです。
それでも「極め」からある種の快感が得られるため、あなたは必死になって練習し、チャンスさえされば渾身のパワーで極めを狙うことでしょう。すると、いつのまにか一般人にはおおよそ付くことのない筋力が備わっているはずです。
まとめ
日本では華奢で体の小さい柔術家が多いからか、あまり柔術=筋肉といった連想ができないかと思いますが、体の小さな人たちでも服を脱ぐとすごい体をしていることが多いですよ。柔術でも間違いなく筋肉はつくし、ムキムキナイスボディを手に入れることは可能です。
ただし、筋肉をつけることを目当てに柔術を始めても続かないと意味がないので、あくまでも筋肉は柔術を好きになって夢中で練習した結果、身体に蓄積されるものだと思ったほうがいいかもしれませんね。それはダイエットでも同じことがいえますよね。
「柔術やれば体重5キロぐらい痩せられるかなあ」とか「筋肉ムキムキになって女子にモテるようになるぞ」とか思っている人って柔術以外のところに目的があるから大抵続かないんだなぁ、これが。