ブラジリアン柔術は喧嘩で有効かどうかについて考える

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photo by Sylvain

柔術って実際にストリートファイトで使えるの? といったことは柔術に興味のある男なら一度や二度考えることじゃないでしょうか。今回はそのことについていろいろな角度から考えていきましょう。

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ブラジリアン柔術が喧嘩(護身)で使えるときとそうじゃないとき

1、1対1の場合は有効

もしどこを見渡しても相手が1人の場合は有効だと僕は思います。格闘技経験者でない限り、普通の人は柔術家の攻撃にはまず対応できないでしょう。それは多くのユーチューブに上がっているビデオや柔術がまだ普及されていなかった時代の格闘技を見ても明らかです。

一方で知らない人とストリートでトラブルになったときは、いつどこから仲間が現れるか分かりません。また、相手が複数いるような場合は、一人のマウントやバックを取ったところでもう一人から攻撃されたらどうしようもありません。

柔術は一人を抑えたり、攻撃したりするのには向いていますが、複数の相手と戦うことを想定していないのです。複数の相手にはむしろ空手、ボクシング、ムエタイ、コンバットサンボ、クラヴ・マガといった格闘技のほうがいいかもしれません。

2、相手が武器を持っていないときは有効

いくら柔術黒帯といえど、さすがに銃を持った相手に向かっていくのは賢い選択ではありません。じゃあナイフだったらどうでしょうか?

ナイフの場合、相手の手首さえコントロールできれば相手を抑えつけることは可能でしょう。といっても可能というだけで、大怪我をするリスクは常に付きまといます。

だいいち柔術経験者だとしても実際に武器を見せられても動じずに相手に向かっていける人は稀です。よほどの訓練を受けていない限り、恐怖で思うように動けなくなるのが人間だからです。

ちなみに僕は海外でナイフや銃を突きつけられたことがありますが、怖くて全く抵抗するといった考えには至らず、財布を渡すか、あるいは走って逃げることが精一杯でした。

もちろんその人の度胸にもよりますが、よっぽどの自信があるか、訓練を積んでいないと、なかなかそういった極度の緊張状態の中で実力を発揮することはまずできないでしょう。

3、喧嘩を止めるときはかなり有効

自分ではなく、他人同士が喧嘩している場合、それを制止するのに柔術は大変有効だと僕は考えています。他人同士がやりあっている最中はあなたのことはまず視野にないので、言ってみればスキだらけです。

首もがら空きだろうし、タックルで倒すこともさほど難しくないでしょう。一人制止してしまえば、もう一人は自分にそれ以上攻撃できないと見ればよっぽど因縁が深くない限り大抵その場から離れ、喧嘩も収まることが多いです。

ただし、これも1対1の喧嘩に限ります。複数同士の喧嘩の場合は、誰かを止めに行けば、自然とあなたもその敵だとみなされ攻撃の対象になってしまいますのでくれぐれも注意が必要です。

まとめ

過去に一度ブラジルに行ったときに護身術のクラスを受けたことがあります。クラスはおおよそ銃やナイフで襲われたときにどうやって身を守るのかという内容でしたが、先生は最後にこう言いました。

「これはあくまでもセルフディフェンスの授業であって、実際に強盗に襲われた場合は抵抗せずに素直にお金を渡すこと。下手に抵抗したら危ないので気をつけるように」。

この一言が今でも強烈に僕の頭に焼き付いています。つまり本当の護身とは戦わないことなのだ、ということです。柔術で喧嘩に勝てる勝てない、ということばかりに捕らわれていると、大事なことを見失いがちになります。

一番いいのは喧嘩をしないこと。そうすればまず負けることはないです。「常に負けない戦い方をする」とかつてヒクソン・グレイシーは言いました。究極の負けない戦いはそもそも戦わないこと、戦いを避けることです。

男なら誰しもカッとなって喧嘩してしまうこともあるでしょう。ただ、相手を負かすことを強さだと考えるのは間違っています。柔術を長年練習していけば、ときには怪我をすることもあるでしょうし、怪我をさせることもあるはずです。

そうした中で、肉体的に自分が傷つくこと、人を傷つけることがどういうことかを身をもって体験するでしょう。中には喧嘩が強くなりたいから柔術を始めるという人もいるでしょう。

最初のきっかけはどうであれ、そんな人でも柔術をきっかけに戦わない哲学と精神を身につけてもらえたら幸いです。それこそが本当の強さだから。

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柔術マン

黒帯、柔術暦20年以上。

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